| 《序》 「賭けようか?」 指で金色を弾く。 金色は美しい放物線を描いて、数歩離れた場所に座る人物に受けとめられた。 「…何に?」 「その金貨。その金貨にはおかしな所がある。それを見つけることができればお前の勝ち、見つけられなければ俺の勝ち」 「……賭け、ということは、もちろん、商品は出るんだろうな?」 「勿論。もし、万が一、お前が勝ったら、俺がお前に借してる貸し、十個全部チャラにしてやるし、その他にも大きな贈り物を一つくれてやる。いい条件だろ?」 「……良すぎて恐いな。僕が負けたら?」 「まあまずそうなるだろうけど? お前が負けたら、お前に貸してる貸し、一つ追加な」 「……条件が不均衡だな。つまり、それほどこの賭けの勝率は低いってことか?」 出題者は、ふふんと笑って肯定する。 「その通り。人は皆、あるものに捕われてる。先入観ってやつだ。これは、お前の、先入観の試験。先入観を乗り越えられたらお前の勝ち。でも、乗り越えられなかったら、お前の負け。どうする? やるもやらないも、お前の自由」 「…なるほどね。つまり、お前は、それだけこの問題に自信があるわけだ」 「先入観、の問題だからな。人間は、乗り越えるのが難しい。でももし、もしも、万が一、まぐれ当たりでお前が勝ったら、貸しは全部チャラにしてやるよ。で? どうする? やるか?」 問い掛けられ、相手は頬の線を厳しくしてしばらく掌中の金貨を見つめていたが、負けず嫌いの本性が勝った。 「やる」 「じゃ、降参のときは来い。答えを教えてやる。それと、期限は一月な。それだけあれば、充分だろ? いいか? 忘れるなよ。その金貨のおかしなところはどこか。それが問題だからな」 いよいよ始まりました! 「たとえばこんな、金貨の問題」。 冒頭の金貨の問題、皆さんも考えてみてください。 |