殺伐とした本編のお口なおしに……

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どうでしょう、可愛いでしょう!
殺伐としている本編(結崎ひよの殺人事件)の気分転換に、
小話を書いてみました。


「歩さん、これはなんですか? なんの集まりなんですか?」
「気分がささくれ立っている作者の気分転換、だとさ」
「そういう小説にしたのは本人でしょうに、いまさらそれですか? まったくもう」
「実に同感だね」
「お、お前っ、カノンヒルベルト!」
「やあ結崎ひよのさん。もう二度と会えないと思っていたから、会えてうれしいよ」
「そうですねえ、私の偽物は会いに行ったみたいですけどね」
「歩君も僕も、あっという間に見破ったよ。やっぱり君を好きな人間は、わかるんだな」
「…人の恋人に人が見てる前でコナかけるな」
(ひよのを抱き寄せる歩)
「ほわわわわ? なんだか歩さんが優しいですねー」
「本編でさんざん『生きてるうちに優しくしておけばよかった』とかたっぷり後悔して、まわりからも『失ってからでないと価値のわからん大馬鹿者』とか言われてる内にきっと心境の変化でもあったんだろう。いやー、馬鹿だよねえ」
「馬鹿ですねえ。私が生きてるうちに優しくしてればよかったのに」
「それができないのが大馬鹿鳴海歩だよ」
「たしかに。そうですねえ」
「……おまえら。本人の目の前で、陰口はやめろ!」
「陰口じゃないですよ? だって歩さんそこにいるじゃないですか」
「そうそう。本人のいるまえの悪口は、嫌味っていうんだよ」
「……いいから。それよりひよの!」
「わわっ! い、いきなり何するんですっ! カノンさんも見てるんですよっ」
「なにって、……キス」
「キスはわかってます! ちょっと時と場所ってものを……ひ、ひとがみてるんですよ!?」
「カノン、こいつは俺の。お前が手を出したら許さないからな。もし手をだしたら、地の果てまで追って生け造りにしてやる」
「清隆は手を出してたけどねー」
「……あ、ものすごくサックリ原爆攻撃しましたね。歩さん? あーゆーむーさーん! 駄目です、どつぼにはまってます。カノンさん! 言っていい事と悪い事ってのがあるでしょう!」
「歩君、さようなら。そうしてすぐに落ち込んでへこたれるようじゃ、彼女は守れないよ。君がリタイアして譲ってくれた彼女はありがたくもらっていくから安心してくれたまえ」
「人を物扱いしないでくださいっ!」
「―――同感だが、たしかに落ち込んでるときじゃなかったな。ひよの。お前、俺のこと好きか?」
「いっ、え、その、……人のいる前で本人に言うんですか?」
「こんな奴なんか気にするな。―――ひよの。愛してる」
「え、え、えええええっ!」
「失って初めて、わかったんだ。俺はお前を愛してる。ねーさんより誰より愛してる。お前は?」
「―――はい。歩さんが世界でダントツに大好きです!」
「……結局僕はあてられただけか。カンペキ二人の世界だな」
「あっちでぼやいてる根暗人間はほっといてよし。じゃ、行こう」
「行くって……どこへ?」
「予約したホテル」
「え、え、えええええっ!」
「作者のバカのおかげで俺たち結局キスどまりだろ? 俺はなんならここで本番やってもいいけど、お前は嫌がりそうだし」
「当たり前です! カノンさんが見てるんですよっ!?」
「じゃ、カノンが見てないならいいんだな?」
「え、で、でも心の準備ってものがー。また土壇場で逃げるかも……」
「あ、わるい、俺今回それ無視することにしたから」
「はいっ!?」
「あんたが泣こうがわめこうが、無視する。途中でなにいっても最後までする。以上」
「女の子の意志ってものは、どこいったんですか!」
「だから聞いたろ? 好きかって。第一 ―――俺に相談ひとつせず影であれだけこそこそやって、挙句兄貴に殺されたあんたに言う権利はない」
「うううううっ……」
「あんたが死んだとき、俺がどれだけダメージくらったか、わかってるのか?」
「……ごめんなさい」
「というわけで俺は決めた。あんたとまた会えたらもう我慢しない。俺はあんたが好きだし、愛してるし、欲しい。……返答は?」
「……そこで私にふりますか。そんなこと言われて、断れるはずないじゃないですかっ」
「あ、僕のことは気にせずに。僕は君が幸せでいてくれれば満足だよ」
「……聞きましたか、鳴海さん。カノンさんのこの度量の広さ! 私は本編でけっこうもてもてだったのに、どーしてこんな人に惚れてしまったのやら」
「僕は君が好きだし、火澄も君に対しては恋一歩手前の好意を抱いてるみたいだし、実をいうと、清隆も珍しく、好意を抱いていたりするんだよねー」
「うるさい。そいつらぜんいんこいつに近づくな」
「……ひしと抱きしめられて、苦しくないかい?」
「ぜんぜん! すごーく、幸せです!」
「やれやれ、じゃ、お邪魔虫は帰るか」




  

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